スカーレル
1 名前: ○話 アティorレックス 投稿日: 2003/08/06(水) 23:50
□スカーレル夜会話


2 名前: 2話レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 09:39
スカーレル:はぁーい、センセ?
      アタシからプレゼント

レックス:これって、手鏡?

「かわいい手鏡」を手に入れた!

スカーレル:せっかくの美人さんなんだから
      きちんと身だしなみしないと
      ダメよぉ

レックス:あ、ありがと・・・

スカーレル:ふぅ・・・
      しかし、アレよね

      感謝してるわ
      アタシたちのこと
      信用してくれて

レックス:え?

スカーレル:アナタが本気になれば
      アタシたちを倒して、この船を
      奪う事もできた・・・違う?

レックス:それは・・・

スカーレル:わかってるわよぉ
      アナタがそんなこと
      考えもしなかったのは

      でもね・・・
      誰だって、誤解はする
      それだけは忘れないで

      じゃあ、オヤスミ♪

     (もしかすると
    あの人は、誰よりも
    物事を広く見ている
     のかもな・・・)


3 名前: 3話レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 11:03
スカーレル:しっかし、アナタには
      驚かされるわねえ

      あそこまで突っ走る
      性格だったなんて

レックス:すいません・・・

スカーレル:ああ、責めてるワケ
      じゃないのよ

      もともと、帝国軍とは
      やりあう気だったし
      連中のやり口にはムカついたし

      だから、アナタの
      暴れっぷりを見てて
      スーッとしちゃった♪

レックス:あははは・・・

スカーレル:うらやましいわ
      ホント、真っ直ぐで

レックス:え?

スカーレル:ううん、なんでもない
      ただの独り言よ

   (スカーレル・・・
    なにを、言おうと
     したんだろう?)


4 名前: 4話レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 11:51
スカーレル:うふふふ・・・♪

レックス:やけに上機嫌だね?
     スカーレル

スカーレル:そりゃそうよぉ?
      だって・・・

      ジャキーニの船からごっそり
      戦利品をいただいちゃったん
      だもんねー

レックス:えっー!?

スカーレル:といっても・・・
      予備の帆とか、船釘
      なんだけどね?

レックス:あ、そ、そう?
     そうなんだ・・・

スカーレル:あはははっ♪
      センセって、ホントに
      真面目ねえ

レックス:わかってるなら
     からかわないでくれよ

スカーレル:あら、わかってるから
      からかうんじゃない?

レックス:うう・・・っ

   (あの人、絶対に
   俺のこと、娯楽にして
   楽しんでるぞ・・・)


5 名前: 5話レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 13:52
スカーレル:しっかし、アナタたち
      ホントに騒ぎを起こす
      のが好きよねぇ?

レックス:面目ないよ・・・

スカーレル:ま、しかし
      あの年頃ってのは、誰でも
      不安になるものよ・・・

      まして、いきなり
      こんな場所で生活する
      ことになっちゃって

      今までガマンしてた
      だけでも、立派よ
      うんうん・・・

レックス:うん、だけど
     もう大丈夫だと思うよ

スカーレル:センセに叱られて
      ちょびっと、素直に
      なったものね

      でも、センセ
      本気であのコを戦いに
      参加させるの?

レックス:うん、あの子がそれを
     望んだんだし、その気持ちは
     大切にしたいからさ

スカーレル:そう・・・

   (これからはあの子にも
     仲間の一人として
     がんばってもらおう)


6 名前: 6話レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 15:44
レックス:最初は思いっきり
     騒いでたみたいだけど

     スカーレル、途中から
     どうして静かに
     なっちゃったんだ?

スカーレル:座を盛り上げるのは
      アタシのクセみたいな
      ものなんだけど

      ホントは、アタシ
      お酒はしみじみと飲む
      ほうが好きなのよね

レックス:意外だな・・・

スカーレル:うん、よく言われる

      けど、もともとアタシは
      一人で飲むことのほうが
      多かったのよ

      ああして、みんなで
      騒ぐお酒を覚えたのは
      オヤジさん・・・

      つまり、先代の船長に
      客分として迎えて
      もらってからなの

レックス:そういえば
     スカーレルは、海賊になる前は
     なにをしていたんだ?

スカーレル:・・・・・・

レックス:スカーレル?

スカーレル:ヒミツってことに
      しといてほしいわね

      あんま、さ
      語るような思い出って
      ワケでもないし・・・

レックス:あ、うん・・・

   (スカーレルが
  あんな寂しそうな顔
  したの、初めて見た
   気がする・・・)


7 名前: 7話レックス 投稿日: 2003/08/12(火) 04:43
スカーレル:立派だったわよ
      センセの覚悟

      プッツンしたカイルを納得させ
      ちゃうなんて、アタシにも
      なかなかできないんだから

レックス:うん、だけど
     やっぱり戦うことには
     なっちゃったよ

スカーレル:仕方ないわよ
      そればっかりはね

      組織に属してる人間は
      その枠組みに逆らう
      ことなんてできない

      気持ちがどうであれ
      与えられた役目を放棄したら
      居場所がなくなっちゃうもの

      あの女隊長さんも
      そこが、ツライとこね

レックス:だろうな・・・

スカーレル:よほどの覚悟がなかったら
      枠組みを飛び出して、自分を
      貫くなんて無理よ

      本当に・・・

   (スカーレルにも
    似たような経験が
   あるのかな・・・?)


8 名前: 8話レックス 投稿日: 2003/08/12(火) 06:36
スカーレル:体の消耗よりも
      心に受けた傷のほうが
      大きかったんじゃない?

      センセみたいな人に
      とっては・・・

レックス:どうだろうな

     正直に言うと、まだ実感が
     わいてこないんだよ

     イスラが、敵になったって
     ことがね・・・

スカーレル:アナタらしいわね

      でも、認めないと

レックス:うん・・・

スカーレル:裏切られることまで覚悟して
      それでも信じるって生き方は
      立派だけどね

      実際に裏切られてみなければ
      それが本当の覚悟だったのか
      なんてわからないわ

      アナタにとって、今が
      その時なんだと思う

レックス:スカーレル・・・

スカーレル:体を休めながら
      ゆっくり、考えてみなさいな?

      これから先、こうした
      苦しみと向かい合って
      いくことになっても

      それでもなお、自分を
      貫いていけるのか、
      その覚悟をね・・・

   (覚悟、か・・・)


9 名前: 9話レックス 投稿日: 2003/08/12(火) 08:39
スカーレル:やだ、もしかして
      まだ昼間のことで
      怒ってたりするワケ?

レックス:いくら冗談だって
     あれはタチが悪いよ
     一瞬、本気で心配したんだぜ

スカーレル:うふふふ、それだけアタシの芸も
      磨きがかかってるってコト
      よねー♪

レックス:スカーレルっ!?

スカーレル:あ、あはははは
      ちょっとばかし
      調子に乗りすぎ?

レックス:まったく・・・

スカーレル:・・・

      でも、故郷に戻れ
      ないのは、本当なのよ

レックス:え?

スカーレル:今でこそ、海賊一家の
      後見人なんて場所に
      落ち着いているけどさ

      アタシ、若い頃は
      ずいぶんと悪どいことをして
      生きてきたから

      戻ったところで
      誰にも顔向けなんて
      できないからね

レックス:そんな・・・

スカーレル:そもそも、今のアタシの姿を
      見たら、知り合いはみんな
      卒倒しちゃうわよ

      ヤードにしたって、最初は
      びっくりして、目を回した
      くらいなんだもの

レックス:えーっ!?

   (昔を知る人から
   見たら、よっぽど
   驚きなんだろうなあ
    うーん・・・)


10 名前: 10話レックス 投稿日: 2003/08/12(火) 11:41
スカーレル:命を奪うのも
      捨てるのも
      絶対に認めない!

      いやーっ、もぉセンセったら
      カッコいいやら
      恥ずかしいやら

レックス:茶化すなよ

     カッコつけるために
     あんなこと言ったんじゃ
     ないんだから

スカーレル:そんなことぐらい
      わかってるわよぉ

      けど、アナタは
      どうなのかしらね?

レックス:え?

スカーレル:生徒を守るため
      村のみんなを守るため

      そう言って、すぐ自分の
      身を差し出してしまうのは
      どなたでしたっけ?

レックス:!

スカーレル:他人の命の重みを
      アナタは知っている
      だけど・・・

      自分の命については
      軽く考えすぎてない?

レックス:・・・・・・

スカーレル:命の価値を説くのなら、まず
      誰よりも自分がその価値を
      知らなきゃいけないわ

      まして、命なんて
      些細な悪意ひとつでどうにでも
      消し飛ぶものなのだから

   (は、ははは・・・
   さすが、スカーレルだ
   思いっきり、痛いとこ
   ついてくるよな・・・)


11 名前: 11話レックス 投稿日: 2003/08/12(火) 12:55
レックス:ああなることがわかって
     いたなら、どうして
     教えてくれなかったんだ

スカーレル:教えたところで
      どうしようもないと
      わかっていたからよ

レックス:だからって!?

スカーレル:それじゃ、聞くけど
      アタシが帝国軍のことを
      話していたら

      センセは、いったい
      なにをどうする
      つもりだったわけ?

レックス:それは・・・

スカーレル:悪かったとは
      思ってるわ

      だけどね、センセ
      剣を処分することは、アタシたち
      にとって最優先の目的なのよ

      ううん、違う
      剣だけじゃないわ

      無色の派閥に関わりあるもの
      全てが、アタシには許せないの

レックス:え・・・

スカーレル:結局、アタシも
      護人のみんなと同じ

      過去のしがらみにとらわれて
      反発して、貴方を都合よく
      利用しようとした・・・

      それだけのことよ

レックス:スカーレル、どうして
     そんなこと・・・

     しがらみって・・・
     無色の派閥に関係ある
     ことなのか?

スカーレル:・・・

レックス:答えてくれよ!?
     スカーレル!?

   (話してくれなくちゃ
   わからないじゃないか
     なにも・・・っ)


12 名前: 12話アティ 投稿日: 2003/08/13(水) 03:54
スカーレル:これが本物の戦場、か
      あのボウヤの言ってた言葉
      なかなか的を得ていたわね

アティ:だからって、あんなの
    ひどすぎますっ!

スカーレル:あんなのって、ナニ?

      ボウヤの裏切り?
      それとも、徹底した
      派閥の包囲戦術?

      笑わせるわね・・・
      どれも、戦場じゃ
      当たり前のことでしょ?

      軍人だった貴方なら
      心得ているはずよ

アティ:・・・

スカーレル:そうやって
      また目を背けるのね

      現実から?
      それとも、過去から?

アティ:っ!!

(殴る効果音)

スカーレル:ぐ・・・っ

      なるほど・・・
      図星ってワケね?

アティ:スカーレル・・・
    どうして・・・っ

スカーレル:アナタが拒んだ世界で
      ずっと、生きてきた
      から、かしらね

アティ:え・・・?

スカーレル:貴方のこだわりに
      口を挟むなんて野暮
      するつもりはないけど

      目を背けていたら
      まっすぐに歩けるはず
      なんてないわ

      戦いなさい
      そして、生き残るの

      じゃなきゃ、夢は
      夢のままで終わるわよ?

 (わかってるんです・・・
  でも、それでも・・・っ)


13 名前: 13話アティ 投稿日: 2003/08/13(水) 04:09
スカーレル:カイルにはさ
       思いっきり、ゲンコツ
       もらっちゃった

       それで、チャラだって

アティ:カイルさんらしいです

スカーレル:そうね・・・

       悪いことをしたとは
       思ってる・・・

アティ:スカーレル・・・

スカーレル:アタシ、組織では
       「珊瑚の毒蛇」って
       呼ばれていたわ

       毒を使った殺しがね・・・
       得意だったから・・・

アティ:無色にいた女暗殺者も
    たしか「茨の君」とか
    呼ばれてたけど・・・

スカーレル:組織の暗殺者にとって
       そういう異名は、実力や
       階級を示すものなのよ

       「竜の息吹」や「銀の光輪」
       「ほら吹き」だなんて、ふざけた
       ヤツもいたっけねえ・・・

アティ:有名だったんだ

スカーレル:嬉しくもなんとも
       なかったけどね

       ま、生きるためには
       殺さなくちゃならない
       世界だから・・・

アティ:・・・

スカーレル:嫌気とヤケで、組織を抜けた
       アタシを拾ってくれたのが
       ここの先代だったわ

       ほとぼりを冷ますだけのつもりが
       なんだか、情が移っちゃってね

       気づけば、あのコたちの
       後見人を引き受けることに
       なっちゃってたってワケよ

アティ:そういう事情が・・・

スカーレル:アタシはまだ
       オルドレイクの抹殺を
       あきらめていない

       それでも、アタシと
       一緒に戦うことができる?

アティ:戦えますよ

スカーレル:目をつぶるってこと?

アティ:いいえ、違います
    その時が来たら、私は
    止めちゃうつもりだもの

スカーレル:!?

アティ:そんなことをしても
    恨みなんて晴れないし
    消えた命も帰りません

    私は、知ってるんですよ
    そういうのって、すごく
    後味が悪いって・・・

スカーレル:・・・・・・

       アティ・・・
       アナタ、まさか・・・

アティ:・・・・・・

スカーレル:そう・・・
       だから、アナタは、そうやって
       いつも笑顔で・・・

 (イヤだもの・・・
 スカーレルたちが
  あんな想いを
 味わうのは・・・)


14 名前: 15話アティ その1 投稿日: 2003/08/13(水) 04:35
※長いのでふたつに分けました※

スカーレル:まさか、折れた剣を
       復活させちゃうなんてね

       センセの無茶苦茶ぶりには
       慣れてたつもりだったけど

       今度ばかりは、もう脱帽
       まいった!ってカンジね

アティ:はははは・・・・

スカーレル:でも、ウィゼルのこと
       よく信じられたものよね

       アタシだったら、絶対
       信用なんかできないもん

アティ:根拠はなかったんだけどね

    なんとなく、あの人は
    信じてもいいかなって
    思ったんです・・・

スカーレル:変わってないわよねえ
       そういうトコは・・・

       アタシたちと最初に
       出会った時のままだもの

アティ:進歩してないかな?

スカーレル:ううん・・・
       変わらないけど、ちゃんと
       進歩してるって思うわ

       だから、いいじゃない?

アティ:そっか・・・

スカーレル:次はいよいよ
       イスラとの再戦ね

アティ:ええ、今度は前みたいに
    みんなの気持ちを無視して
    ぶつかったりはしない

    自分にウソをつかずに
    納得できるやり方で
    決着をつけるつもりです

スカーレル:そうね・・・
       そうでなくちゃ、きっと
       あのボウヤには勝てないわ

       あの子の強さは、貴方とは
       正反対の方法で作られている
       ものだろうから・・・

アティ:正反対って?

スカーレル:切り捨てる強さ、よ

アティ:切り捨てる・・・

スカーレル:他人とのつながりは
       武器になるけど、同時に
       弱みになることだってある

       イスラはそれを嫌って
       孤独になることで、自分を
       守ろうとしている

       アタシにはそう見えるのよ

アティ:スカーレル・・・

スカーレル:裏切りを繰り返すのは
       きっと、そうした弱みを
       作らないためでしょうね

       他人に頼らず、自分を追い込み
       常に必死の力を発揮する

       確かに、それは強い力だわ
       けど、今のボウヤにはもう
       捨てるものが残ってない

       自分自身を削りとって
       力に変えていくしかないのよ

アティ:でも、だからこそ
    今ここで、とめなくちゃ
    いけないと思うの!

スカーレル:アティ・・・

アティ:私は、イスラを正したい
    間違ったまま、ひとりきりで
    いてほしくない

    そのために、この剣の力を
    使いたいんです・・・

スカーレル:できるわよ
       今の貴方なら、きっと・・・

アティ:ええ!

    ねえ、スカーレルは
    この戦いが終わった後は
    どうするつもりなの?


15 名前: 15話アティ その2 投稿日: 2003/08/13(水) 04:36
スカーレル:そうね・・・

       とりあえず、しばらくは
       カイルたちのお世話になるわ

アティ;しばらく、って・・・

スカーレル:後見人としての役目は
       もう、充分に果たしたでしょ

       そろそろ、別の場所へと
       流れていかなくちゃね

アティ:そんな!?

スカーレル:心配しないでよ
       復讐するのは、もう
       やめにするから

       誰かさんに叱られて
       やる気も失せちゃったし

アティ;あ・・・

スカーレル:ゆっくり、一人で
       考えてみたいのよ

       それじゃ、次はなにをして
       生きていこうかしら
       ・・・ってね

アティ:だったら・・・

スカーレル:ダメよ

       その先は、言っちゃダメ

アティ:スカーレル・・・

スカーレル:アタシは蛇よ

       おひさまの下じゃ、どうにも
       まっとうに生きられない

       湿った暗い場所でなくちゃ
       落ち着くことができないの

アティ:でも・・・っ

スカーレル:ヤケで言ってるんじゃないの

       紅い手袋を外しても
       アタシの手は、べっとりと
       血に濡れているわ

       忘れたふりをしてたけど
       いつか、どこかで
       洗わなくちゃいけないのよ

アティ:スカーレル・・・っ

スカーレル:貴方は、アタシにとって
       かけがいのない夢なの

       真っ白で、キラキラした
       とても素敵な夢・・・

       だから、血まみれの
       この手で汚したくないの

       わかってちょうだい

アティ:う、うん・・・っ

スカーレル:ありがとう・・・

       大好きよ・・・
       アティ・・・

アティ:うん・・・っ

スカーレル:だまって、出てったりしない
       それだけは、約束するから

       だから、それまでは
       よろしく頼むわね
       アティ

アティ:ええ・・・