ミスミ
1 名前: ○話 アティorレックス 投稿日: 2003/08/06(水) 23:59
□ミスミ夜会話


2 名前: 9話休日後 投稿日: 2003/08/09(土) 19:40
レックス:ふわぁ…
ミスミ:ずいぶんと眠そうな様子じゃな?
レックス:うん、今日みたいに思いっきり遊んだのは
     久しぶりだったから
ミスミ:ほんに、子供らと遊ぶそなたは、すごく
    楽しそうじゃったぞ
レックス:あははは… なんか、恥ずかしいな
ミスミ:改めて、思うたわ
    そなたに、学校の先生を頼んで良かったとな
レックス:そうですか?
ミスミ:あの子が、あんなにも学校を楽しみにしているとは
    正直、驚いた…
    帰ってくるといつも、学校でなにがあったか、一生懸命
    わらわに話してくれてな
    それが、とてもうれしいのじゃ
レックス:そうなんですか
     それは、嬉しいかも
ミスミ:知ってのとおり
    あの子は、男親というものを知らぬ
    臣下としての礼を第一とするキュウマや、
    ご老体にそれを求めるわけにもいかず
    それが不憫でのぅ
レックス:ミスミさま…
ミスミ:じゃが、そなたが来てくれたおかげで、
    もうその心配もなくなった
    本当に感謝しておるぞ
レックス:いいんですよ
     俺も、先生やっててすごく楽しいですし
ミスミ:うむ、ならばこれからもよろしくご指導頼む
    先生殿
レックス:こちらこそ


3 名前: 10話 レックス 投稿日: 2003/08/09(土) 23:05
ミスミ:学校をやってくれと頼んだ手前
    こんなことを頼むのは気が引けるが…
    実のところ、わらわは
    学校には行ったことがないのじゃ
レックス:ええっ!?
ミスミ:いや、読み書きはきちんとできるぞ
    そなたと同じ家庭教師に習っておる
    ただ、わらわとしては家でじっとしておるよりも
    外で身体を動かすほうが…
レックス:要するに、勉強は嫌いだったと?
ミスミ:う、うむ…
レックス:スバルの勉強嫌いは
     母親譲りだったってことか…
ミスミ:じゃが、息子に勉強をさせておる手前、
    わらわも、とは思うておるのじゃが…
    とはいえ、やはり苦手なものは苦手じゃ
    第一、楽しゅうない
レックス:楽しく学びたいならミスミ様も、
     学校に入られたらどうです?
ミスミ:馬鹿を申すでない!?
    それこそ、わらわの立場がないではないか
    下手をすると、子供らよりも
    出来が悪いかもしれんというに…
レックス:そ、そうなんですか?


4 名前: 11話 レックス 投稿日: 2003/08/10(日) 15:05
ミスミ:ひどい嵐じゃな…
レックス:うん、雨も風もすごく強くて、大変だよ
ミスミ:そういう意味ではない
レックス:?
ミスミ:風を操るわらわにははっきりと感じ取ることができる
    この嵐は、自然の意に沿うたものではない
    むしろ、それらに背こうとする力によって
    天が裂かれる嘆きじゃ…
レックス:天の嘆き…
ミスミ:不吉なことをいうのは わらわとて
    好かぬことではあるが
    こうも凶事を予感させる嵐は、初めてじゃ…
    レックス、そなたも、くれぐれも気をつけることじゃ
レックス:うん、わかった


5 名前: 12話 レックス 投稿日: 2003/08/10(日) 20:54
ミスミ:同じじゃな… あの時と…
    良人たちが戦った 島を守る、最後の戦と
レックス:あれは… ひどすぎた…
ミスミ:そのとおりじゃ じゃが、もしかするとあれ以上の
    ことが起きるやもしれんな
レックス:ミスミさま…
ミスミ:退けというのならば聞く耳もたんぞ!!
レックス:・・・っ
ミスミ:スバルや、わらわを案じてくれる
    そなたの気持ちはありがたく思う
    じゃが、わらわはこの郷の長なのじゃ
レックス:なら、なおさら…
ミスミ:いやなのじゃ!
    誰かの背中を見送って ただ待ち続けることは
    もう絶対に・・・っ
レックス:!
ミスミ:わらわは…
    もうあんな思いはしとうない・・・っ
レックス:ミスミさま…
ミスミ:キュウマも、スバルも同じ思いじゃ…
    認めてくれるな?レックス
レックス:・・・・・・


6 名前: 13話 レックス 投稿日: 2003/08/11(月) 02:28
ミスミ:ええい、それにしても腹が立つ!?
レックス:ミスミ様、そう興奮しないで
ミスミ:これが興奮せずにいられようか!?
    無色の輩は、戦えない郷の民たちにまで
    手を出そうとしたのじゃぞ?
    卑劣にもほどがある!
    こうなれば、やはりこちらから仕掛けていって…
レックス:ダメですよ
ミスミ:何故じゃ!?
レックス:力で相手をねじふせる
     俺たちが戦う目的はそういうことじゃないからです
ミスミ:・・・!
レックス:気持ちはわかります
     俺だって、派閥のやり方は気にくわない
     でも、俺たちにとって大事なのは、
     戦えない村の人たちを守ること
     負けなければいい
     大切なものを守りきれば
     俺たちの勝ちなんです!
ミスミ:む・・・
レックス:俺、がんばります
     もっと、がんばって無色を追い払います
     だから、ミスミさま
     貴方にはできるだけ笑顔でいてほしい
     郷長として、今も不安を抱えている人たちのために
     そして、母親としてスバルくんのために
ミスミ:そうか・・・
    そなたがいつも笑うておったのは
レックス:・・・
ミスミ:わかった・・・
    そなたの言葉、胸にとどめておこう


7 名前: 15話 レックス@ 投稿日: 2003/08/12(火) 01:58
ミスミ:まさか、そなたたちがあのような隠し球を
    用意しておったとはな…
    果てしなき蒼・ウィスタリアス
    新たな剣の力、しっかりと見せてもらったぞ
レックス:俺だけの、まして、剣だけの力で
     つかみとった勝利じゃありませんよ
     ミスミさまや、スバル
     弱気な俺をはげましてくれたみんなの優しさが…
     勝つための力を与えてくれたんです
ミスミ:みなの勝利、というわけか
レックス:ええ、そうです
ミスミ:そうか…
    それはうれしいことじゃな
    それにしても、あの剣を振るう、そなたの姿は
    じつに勇ましかったのう
    久しぶりに、戦人としての血が震えたわ…
    まるで、良人の若い頃を見ているようじゃったな
レックス:リクトさんに?
ミスミ:わらわと二人で、一番槍を競うようにして、
    敵陣へと向かっていったものじゃ
    並んで馬を走らせていくその横顔が、
    憎らしくもあり 頼もしくもあってな…
    はははは・・・
    一緒にしてしまっては、そなたに失礼かもしれんな
レックス:そんなことないですよ
     なんか、うれしいです
     そう言ってもらえると
ミスミ:そうか…
    ともあれ、戦もいよいよ大詰めじゃ
    そなたに負けてはおられぬ
    わらわも、改めて気持ちを引き締めねばならぬな
    次の戦を見ておれよ
    鬼姫ここにあり、と目にものみせてくれるわ
レックス:あの、それはいいんですけどミスミさま…
ミスミ:なんじゃ?
レックス:どうして、あんな無茶したんです?
ミスミ:あ、いや…
    それはのう…
    はは、ははははは…
レックス:笑ってごまかそうなんて考えてませんよね?
ミスミ:う・・・っ
    すまなんだ…
レックス:俺のために戦おうとしてくれたことは、うれしかったけど
     あんなふうに、お互いに心配をかけるようなことは
     もうやめにしましょう?
     守るのも、守られるのも
     すぐ側にいなくちゃ、満足にできなくなるから…


8 名前: 15話 レックスA 投稿日: 2003/08/12(火) 01:58
ミスミ:レックス…
    うむ…
    そうじゃな…
    イスラを倒して、剣を取り戻せば、
    この戦もようやく終わる…
    そのあかつきには、盛大に見送りの宴を
    やらねばいかんじゃろうな
レックス:そんな、大げさですよ
ミスミ:なにを言うておる
    最後のはなむけぐらいは派手にやらせてもらうぞ?
レックス:え?
ミスミ:思えば、本当にそなたはよくやってくれた
    ぶしつけな頼みに答えて 子供たちに色々教えてくれたこと
    感謝しておるぞ
    使っていた黒板や教卓は記念に残しておこう
    うん、それがいい…
レックス:あの、ミスミさま?
ミスミ:ん?
レックス:記念もなにも、そのまま残しておいてくれないと、
     俺困っちゃうんですけど
     じゃないと、授業ができなくなるし
ミスミ:え!?
    そなた…
    まさかこれからも学校を続けてくれるのか?
レックス:当たり前ですよ
     まだまだ、教えなくちゃいけないこともありますし
ミスミ:し、しかし…  
    そなたは、元いた場所に帰るのでは…
レックス:もちろん、帰りますよ
     片付けなくちゃいけない問題だってあるし
     しばらくお休みはいただくことになっちゃうけど
     必ず戻ってきますから…
     だから、クビは勘弁してくださいよ…
ミスミ:そうか・・・
    はは、あはははははっ♪
    そうか、そうか・・・
    よかっ、た・・・っ
レックス:ミスミさま…
ミスミ:す、すまぬ…
    じゃが、わらわはてっきりそなたは国に帰ってしまうと
    覚悟しておったから…
    じゃから・・・っ
レックス:泣かないでください
     じゃなきゃ、貴方の涙を止めるために
     残ると決めた俺の立場がないですよ
ミスミ:え・・・
レックス:スバルから聞いてます
     貴方はいつも、みんなの知らないところで、
     一人で泣いている、って
ミスミ:あ・・・
レックス:リクトさんの代わりには
     どう考えても、なれっこないと思うけど…
     それでも、俺はあなたのことが好きです
ミスミ:・・・!?
レックス:だから、側にいたい
     貴方の支えになりたい
ミスミ:だ、だめじゃ・・・っ!
レックス:どうして?
ミスミ:そんなにも、やさしゅうされたら、
    わらわは、ダメになる・・・っ
    あの人との約束…
    それに、そなたは人間だし、年だって・・・っ
レックス:関係ないですよ そんなことは
ミスミ:!
レックス:俺が知りたいのは、ただ貴方の気持ちだけです
ミスミ:それは・・・っ
レックス:それでも、ダメですか?
ミスミ:ダメなんかじゃない!?
    うれしい、うれしいけど
    じゃが・・・っ
レックス:今すぐ、答えなくたっていいんですよ
     俺、待ちますから…
     どれだけ待つことになっても
     俺の気持ちは、変わったりしませんから…
ミスミ:レックス…
    はい…
レックス:必ず、勝ちましょう
     そのためにも…
ミスミ:あぁ…
    そうじゃな…


9 名前: 楽園の在処 レックス 投稿日: 2003/08/14(木) 00:57
ミスミ:そうか、あの子も無事に合格することができたか
レックス:うん、おかげさまでベルフラウは無事に合格できたよ
ミスミ:めでたいことじゃな
レックス:保護者として、入学式にも参列してきたんだけどさ
     あの子、新入生の総代として挨拶することを
     俺に内緒にしていたから、驚いたよ
ミスミ:すごいではないか?
レックス:立派に挨拶を読み上げるあの子の姿を見てたらさ
     なんか、昔の自分の姿を思い出して
     ちょっとだけ泣けちゃったなぁ…
ミスミ:そうであろうな…
レックス:長期休暇になったらこっちに遊びに来るから
     よろしくだってさ
ミスミ:スバルたちが、それを聞けばきっと喜ぶじゃろう
    無論、わらわも楽しみじゃ
    子供というのは、短い間でも驚くほど成長するからな
    よい意味で、びっくりさせてもらいたいものじゃのう
レックス:ですね…
ミスミ:万事は、川のように流れ続け同じ場所へと
    留まり続けることはない…
    どうせ変わっていくのならば、そなたのように
    笑顔だけは忘れずにいたいものじゃな
レックス:ええ…
ミスミ:思えば、そなたらと出会ってわらわたちも、
    ずいぶんと変わっていくことができた
    学校を開くことができたのも、島に暮らす者たちが
    すすんで手をとりあっていけたのも
    みな、先生のおかげじゃ
    改めて、礼を言うぞ…
レックス:そんな、俺はただ自分のやりたかったことを
     勝手にやっただけですよ
ミスミ:そうじゃ…
    そうしたいと願うだけではなく
    本当にやりとげてくれた
    思いあぐねるだけで、自分で動くことができなかった
    わらわとは、そこが違う
レックス:ミスミさま…
ミスミ:正直、恥ずかしい…
    自分の不甲斐なさが…
レックス:そんなことないですよ!
     俺だって、ミスミさまがきっかけをくれなかったら
     きっと、同じでした…
     貴方が背中を押してくれたから
     思い切って、突っ走れたんです
ミスミ:先生…
レックス:お互い様ですよ
     俺だけでも、貴方だけでも、こんな未来は描けなかった
     違いますか?
ミスミ:そう、じゃな…
    みなで助け合ったからこそ、今日という、
    この日があるということなのじゃな
レックス:ええ、ミスミさまのおっしゃるとおりですよ
ミスミ:それなんじゃが…
レックス:?
ミスミ:こんな注文をつけるのもなんなのじゃが…
    そろそろ、わらわのことを「さま」づけで呼ぶのは
    やめてくれぬか?
レックス:あ…
ミスミ:一応、略式だったとはいえ他人でない関係になった
    わけではあるし…
レックス:それを言うんだったら、
     「先生」って呼び方もやめにしましょうよ?
ミスミ:そ、そなたが先にやめてくれたら
    考えてやってもよいぞ?
レックス:いや、ここはやっぱりそっちから…
スバル:「父上、母上〜 早く帰らないと夜が明けちゃうよ?」
ミスミ:…!
レックス:ははは…
     それじゃあ、行こうか?
     ミスミ…
ミスミ:はい、あなた…